万博ガスパビリオン 放射冷却素材で空調エネルギー最大4割削減の可能性

競合エネルギー

 日本ガス協会は、大阪・関西万博の「ガスパビリオン おばけワンダーランド」で採用された放射冷却素材による省エネルギー効果の検証結果を公開した。立命館大学 建築都市デザイン学科 近本智行教授とSPACECOOLによる共同実証で、空調エネルギーを最大約4割削減できる可能性が確認されたとしている。
 同パビリオンは、日建設計が設計した膜構造物の建築物であり、日本ガス協会は大阪・関西万博のコンセプト「未来社会の実験場」の趣旨に基づいてSPACECOOLが開発・販売を進める放射冷却素材「SPACECOOL(スペースクール)」を外膜全面に採用した。太陽光を高効率で反射するとともに、熱を赤外線に変換して宇宙に放射することで、エネルギーを使わず冷却を行う技術を活用した素材である。
 実証では、万博会期中の現地での温度測定と、数値流体解析(CFD解析)による室内温度分布や空調負荷の影響を検証した。その結果、放射冷却素材を適用した場合、太陽光を透過する透過膜および太陽光を透過しない非透過膜といった従来の膜素材と比べて室内の高温域形成が抑制され、温熱環境の改善が確認された。
 解析では、人が滞在する高さにおいて最大約2〜9℃の温度差が確認された。また夏季条件では、透過膜と比較して約35〜40%、非透過膜と比較して約18〜24%の空調負荷削減効果が示された。
 これにより、大阪・関西万博のコンセプトである「未来社会の実験場」のもと、放射冷却素材の有効性が実測及び解析の両面から示され、次世代建築素材としての可能性が明らかになったとしている。