ベンリーコーポレーション(愛知県清須市、前田満定社長)では、生活支援サービス事業のトップ企業として全国に約180店舗のフランチャイズチェーン(FC)を展開している。同社が「ベンリー」店舗のFCとして親和性が高いと注目するのが、LPガス販売店だ。

成功の鍵はコンビニ
同社では、〝トータルライフサポート〟をサービスの位置づけとして掲げている。例えば、掃除や庭の草刈り、家具の移動、エアコンのクリーニング、水回り修理、買い物代行、電球の交換など生活の全てに関わることをサポートするという考え方だ。
身体が思うように動かない高齢者の場合、電球交換一つとっても大ケガの危険が伴う。夏の炎天下では薬局に薬を買いに行くのもままならない。一人暮らしでは誰かに頼むこともできない。高齢化社会が進む今、日本全国で起こっていることだ。上井博史取締役開発部長は、「家の中の困り事はたくさんある。ベンリーがワンストップで対応すると、お客さまも安心して『ベンリーさんに何でも相談できるし、頼めば何でもやってくれる』と依頼も増える」と語る。
エアコンのクリーニングや庭の手入れといったサービスを個別に手がける事業者も存在するが、「清掃だけ、草刈りだけ、水回り修理だけといった単独の業務では、依頼も単発終わってしまい安定した収益を上げるのは難しい。当社はビジネスモデルとしてコンビニエンスストアを意識している。もしコンビニの商品が弁当だけ、飲み物だけだったらビジネスとして成立しない。コンビニの店舗経営が地域密着型の小規模商圏で成立するのは、多種多様な品ぞろえがあって来店客もいろいろ買い物をすることで客単価が高いからだ。リピート率も高い」と強調する。そうしたコンビニモデルを実践できるのがベンリーの強みとなる。
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信頼が収益を生む
ベンリーの開業を成功させる上で、LPガス販売店の事業特性が有利に働く。上井部長は、「生活支援サービスでは、地域のお客さまとの信頼関係をつくることが最も大切。新規に店舗を開業すると、地域に浸透するのに時間がかかる。LPガス販売店なら地元で何十年とガスを供給してきて、お客さまとの信頼関係を既に築いているので、生活支援サービスと親和性が高いのでスタートダッシュが効く」と指摘する。
強盗事件や点検商法などの犯罪行為が増えている昨今、一人暮らしの高齢者、特に女性は、業者に何か依頼するにしても見ず知らずの人間を家の中に入れることに警戒感がある。しかし日頃から付き合いのあるLPガス販売店なら、信頼を寄せて任せられる。日頃の接点が増えることでリフォームなど高額案件につながることも多いという。
FC加盟したあるLPガス販売店は、加盟前から既に容器周辺の草刈りや水回り修理などを無料実施していたが、ベンリーの事業としてサービスメニューを提示することで、収益を得られるようになっただけでなく、有料化で依頼が減るどころか逆に増えたという。上井部長は、「お客さまには、本当はもっと頼みたいけど、あまり言うと申し訳ないという心理がある。しっかり対価を払って依頼することで気兼ねなく頼める」と背景を説く。依頼が増えることで事業として収益が安定する。営業エリアを広げなくても地域密着のワンストップで対応することで成り立つのがベンリーの特長だ。
「LPガス販売店の場合、創業当初は炭や練炭を売っていた会社もあると思う。それがLPガスの供給という、お客さまが快適に生活できるインフラを地域でサポートしてきたはず。世の中の流れに合わせて業態を変えてきたからこそ社業が長く続いていると思う。今まで地域の生活を支えてきたガス会社だからこそ、ガスも提供しつつ、〝暮らしのコンビニ〟になることが求められているのではないか」と上井部長は訴える。

未経験から挑戦可能
FC加盟する事業者のほとんどは未経験からのスタートだ。同社では清須市の本社近くに専用の研修センターを用意しており、合宿形式で53日間の導入研修を実施している。座学と実技指導の2本立てで各種住設機器の修理・交換方法などを学べるほか、接客ロープレを行う模擬施設がある。研修専用の店舗も隣接しており、「技術と接客と店舗マネジメントの3つをしっかり学べる」(上井部長)。なおFC加盟に当たってサービス運営にかかわる人手が不足していれば、人材募集からサポートするという。同社では事業説明会を随時開催中だ。


