LIXIL、 職場トイレとウェルビーイング関係調査

経営企画情報

横浜市立大学と共同実施 仕事満足度に影響

LIXILは11月10日、横浜市立大学と共同で実施した「ウェルビーイングと職場のトイレ環境の関係」に関するウェブ調査の結果を発表した。職場トイレの快適性が、仕事の満足度ひいてはウェルビーイングにつながることを示唆する結果が得られた。

本調査では、変量効果モデル(グループ間の差を明らかにする手法の一つ)を用いて、職場のトイレの満足度が働く人の「生活全体の満足度(Subjective Well-being:SWB)」に与える影響を定量的に分析した。

調査結果として、職場のトイレの満足度が仕事の満足度に有意な影響を与え、さらにその仕事の満足度が生活全体の満足度(SWB)に寄与することが明らかになった。この「トイレの満足度→仕事の満足度」の影響度は、男女で統計的に差がなく、トイレに対する満足感が形成されれば、性別によらずその後の仕事への好影響を与えることがわかった。

トイレの満足度に影響を与える要素を調査したところ、男性は「嫌なにおいがしない」が1位となり、次に「空間のゆとり」を重視し、女性は「清潔さ」「空間のゆとり」を重視している。男女に共通する「空間のゆとり」「臭いの低減」は満足度の高いトイレの基本要件としつつも、男性に対しては、「洗面台の広さ」「明るさ」などの機能性・視覚的快適性を強化することが重要である。また、女性に対しては、「手荷物スペース」「コート・上着をかける場所」「室温」などの細やかな配慮と快適性を提供することが満足度へ影響する。

調査主体はLIXILと横浜市立大学で、調査時期は2025年8月8日から10日まで。職場に通勤している20歳以上の方を対象に実施し、有効回答数は1957人(男性956人、女性1001人)である。解析手法は変量効果モデルを用いた。

横浜市立大学データサイエンス学部の上田雅夫教授は「仕事の満足感には様々な要因があるが、職場のトイレという改善することが可能なものが人々の仕事の満足感、ひいては生活の満足感に影響を与えることを示した」と、改善可能な環境要因の重要性を指摘した。

同大学先端医科学研究センターの西井正造助教は、トイレを「心と体を整える身近な『小さな居場所』」と位置づけ、適切に設えられたトイレが幸福と健康の双方を高める因子(イネーブリングファクター)となる可能性を示唆した。