熱暑もたらすダブル高気圧(2025.10月号)

エッセイ

月刊LPガス エッセイ★湯川裕光

 秋なのにい。さすがに本誌がお手許に届く頃には10月らしくなっていると思うが、9月になっても猛暑日が記録されたし、8月には群馬県伊勢崎市が41.8℃で最高を更新、静岡市と埼玉県鳩山町で41.4℃、その他の地点も40℃を超える観測が続出したから、例年と比べて暑かったのは確かである。諸姉諸兄は「地球が温暖化している結果だから不思議はない」と思われるかもしれないが、実は今年(2025年)の猛暑の原因は「偏西風の蛇行により、太平洋高気圧とチベット高気圧が日本列島の上で重なったこと」とされ、このダブル高気圧による異常気象は2018年と2022年と同じ現象だといわれている。何がなんでも温暖化に結びつけて思考停止になるのは、温暖化について全否定するのと同様に科学的とはいえない。

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湯川裕光
作家。1950年、東京に生まれる。東京大学法学部卒業。『安土幻想』『小説古事記成立』など歴史小説を書き、『マンマ・ミーア!』『異国の丘』など、劇団四季のミュージカルの台本も手掛ける。『瑤泉院』は稲森いずみ、北大路欣也主演でテレビ東京の正月10時間ドラマの原作になった。現実政治に携わったこともある。