日本LPガス協会 田中惠次会長

昨年11月に当協会は、LPG業界のあるべき姿として「LPガス産業2050ミッション<お客様・社会との約束>」を策定し、3つのミッションを掲げた。その達成に向けて、今後5年間の行動計画となる「LPガス産業2030アジェンダ(6つのアクション)」を策定した。今年はその初年度となるので着実に実行していく。
日本の昨年のLPガス輸入は、アメリカならびにカナダ、オーストラリアの3つの有好国から9割を越え、地政学的に極めてリスクの少ない地域および海上ルートで安定的に調達しており、LPガスはわが国のエネルギー安全保障上、大変貴重な存在だ。加えて、国家および民間の90日の備蓄と、消費者宅の軒下在庫約30日分の備えがあり、供給体制は盤石だ。また、LPガスの国際指標価格でありますサウジアラムコによるCP(コントラクトプライス)に関しても、アラビアンライト原油との熱量等価比較において4年連続で等価割れが続いている。このようにLPガスは、低廉かつ安定的な供給状態が続いており、現時点においてLPガスの調達に特段の支障を来たす状況はない。不確実性が高まる世界情勢においても、国際エネルギー市場動向の推移を注視しつつ、LPガスの安定供給確保に万全を期していく。
近年、益々自然災害が頻発化し、激甚化する傾向が見られる中、指定避難所にもなる全国約2万6000校の小中学校体育館において、停電時における冷暖房の使用や照明などへの電源確保が可能となる自立型GHPの導入は喫緊の課題だ。またGHPは非常時に限らず学校の体育やクラブ活動の現場における熱中症対策や地域のコミュニティの場としての活用などにも大きな力を発揮する。文部科学省は2035年までに学校体育館など避難所への空調設置率95%導入を目指している中、GHP導入を一段と加速していくことが、国民生活を守る上でもとても大切だ。地方自治体などへの情報発信をより積極的に進めつつ、全国LPガス協会など関係団体と一致協力し、GHP導入促進を強化していく。
能登半島地震の際、当協会では会員会社間の相互支援協定に基づき、いち早く災害対策本部を立ち上げ、経済産業省はもとより国土交通省や自治体の港湾部局・道路局の方々の協力を得ながらサプライチェ-ン維持の取り組みを全力で行ってきた。当協会としては、いつ如何なる時にでも大規模な災害が起こるかも知れないとの緊張感を持ちながら、LPガス・サプライチェ-ンならびにレジリエンス対応力のさらなる強化に向けた取組みを進めていく。
LPガスは、低炭素で長期保存が可能で、可搬性に優れた分散型エネルギーとなる。エネファームやハイブリッド給湯器などの高効率機器の普及促進による徹底した省エネ化、重油ボイラ-や加温機などからの燃料転換、J-クレジット利用によるカーボン・オフセットなど、一段とLPガスのカーボンニュートラル(CN)対応を進めていく。特に農業の施設園芸分野において、その熱源の9割以上をA重油としている現状をLPガスに燃料転換することでCO●を約2割削減でき、さらにはこのLPガスに排出権付きで調達すればCO●ゼロも可能となる。農家にとっても低炭素で生産された商品が販売面で差別化要因ともなり得る。農業分野への新規需要開発に力を入れていく。
保安の分野において、行政が進めるIoTやAIの活用を始めとする高圧ガス・液化石油ガス分野でのスマ-ト保安の積極的に進められている。当協会しては、産業事故対応でまとめた「産業保安自主行動計画」をベースとして取り組むとともに、当協会が主催する「LPガス保安に関する講演会」での法改正動向や事故情報の提供を通じて、日本LPガス団体協議会参画団体とも連携しながら、保安活動の向上ならびびに安全対策の強化につなげていく。一昨年7月に液石法改正省令が施行され、昨年4月には三部料金制が施行された。当協会としても会員各社の販売子会社および全国LPガス協会との連携などを通じ、お客さまに安心してLPガスをご利用いただくために、業界一丸となって活動していく。
昨年10月、第9回グリーンLPガス推進官民検討会において「LPガスのCN化に向けたロードマップ」を足元需要の修正と将来需要の見直し、実行施策の具体化などの改定を行った。グリーン化に向けてバイオ原料やリサイクルCO●などを用いたLPガス合成技術開発を国内9チームが進めている。当協会でも常任理事会社5社によって構成される一般社団法人日本グリ-ンLPガス推進協議会を通じて、北九州エコタウン内に大型実証設備を導入し、社会実装に向けて取り組んでいる。さらなる低炭素化に向けて昨年4月にはr-DME(再生可能原料によるDME)混合WGを立ち上げ、国の助成事業にも採択され、新たな品質・規格作りなど着手した。世界の環境・規格政策の動向も注視しながら、より一層、LPガスのCN化、トランジション対応を進めていく。
将来にわたり社会を支える重要なエネルギーとしての役割を果たすとともに、まだまだ知られていない「LPガスの魅力と価値」をより深くご理解いただくために、関係省庁との一層の連携強化を図るとともに、消費者・需要家・自治体・取引先産業など、LPガス業界内外への情報発信・説明責任を積極的に行う。
LPガスは、国の基本方針である「エネルギー安全保障の確保」と「国土強靭化」双方の観点から、国益にかなうわが国にとって正に「宝のようなエネルギー」である。 これらを踏まえ昨年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」においてLPガスの安定供給体制確保の重要性が初めて明記された。当協会ならびに当業界の使命の大きさを改めて再認するとともに、身の引き締まる思いだ。そしてその責務をしっかりと果たすべく努力を重ねていく。
当協会のスロ-ガンは、「未来と環境を照らす宝のようなエネルギ-・LPガス」、副題「安心でサステナブルな社会を目指して」である。この標語に込められた理念と精神を胸に刻み、取り組んでいく。


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