国民生活文化の向上と業界の発展へ
エネルギー使用量の削減を図る活動を推進

年頭所感

日本ガス石油機器工業会 吉井唯 会長

 昨年は、日本では20年振りの万博(大阪・関西万博)が開催され、一般来場者は2500万人を超え、前回万博(愛・地球博)の来場者を300万人以上上回る盛況な万博となった。また、11月には日本で初の女性首相として高市政権がスタートし、国政の新たな潮流に期待感が高まっている。国際的には、トランプ大統領が米国に輸入される鉄鋼・アルミ製品に対して追加関税措置を発効したことに端を発し、中国がレアアース関連製品の輸出規制措置を実施するなど、多岐に渡る産業のサプライチェーンを揺るがす大きな問題に発展した。紛争や経済安全保障など国際情勢の不安定な状況は当面続くものと考えられる。諸物価高騰や原材料調達難など、当工業会会員も少なからず影響を受けている。当面は安心できない状況が続くものと思われるが、今後の情勢をよく見極めつつ、柔軟に社会情勢の変化に対応した工業会運営を図っていく。

 事業活動の重要な柱の一つである製品安全事業は、昨年もさまざまな施策を行ってきた。
ガス機器は、Siセンサーコンロの累計出荷台数が、昨年11月には5496万台を突破し、その普及とともに火災事故件数は確実に減少している。石油機器、給油時自動消火装置等を搭載したPSCマークが表示されたより安全な石油暖房機器への取替え促進にも継続して取り組み、出荷台数の累計が昨年11月には5340万台を突破した。これら安全な製品の普及に伴い事故件数は確実に低減しているものの減少率は鈍化しており、使用者による不注意や誤使用による事故の比率が上昇してきているため、安全啓発活動を強化している。具体的には、種々の生活情報誌や消費者向けサイトを活用した安全啓発や、消防庁と連携した春・秋の全国火災予防運動における安全啓発チラシの全国消防署への配布などを積極的に展開した。行政、消費者団体、ガス関連団体等と連携した消費者向け製品安全セミナーや、石油連盟と連携した製品安全及び需要促進セミナーなどは、全国の拠点で多くの方に参加いただくことができた。さらには、ネットモールにおけるガス・石油機器のリコール対象品や、国の定める安全基準を満たした製品に表示されるPSマークが無いものなどの掲載削除に取り組む。
 カートリッジ燃料機器は、特に防災備蓄用に購入された製品の経年劣化対策として「カセットこんろは製造後10年を過ぎたら買い替えの検討を!また、カセットボンベは製造後7年以内を目安に使い切りを!」の呼びかけをキャンペーンなどで行い、またアウトドア用ガス機器やガストーチの事故防止の安全啓発にも引き続き取り組む。なお、ガストーチは、2025年2月6日から、国の定める安全基準に対する適合性について、登録検査機関での検査が義務付けられた。2月6日には経過措置期間が終了し、検査合格を示す◇PSLPGマークの表示がない製品の販売は違法となる。当工業会の会員各社はいち早く法令改正に対応し、25年4月から順次改正法令に対応した製品を市場投入してきており、ユーザーの安全・安心に貢献している。省エネ・環境対応は、昨年2月に「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定された。「S+3E」(安全性=Safety、エネルギー安定供給=Energy Security、経済効率性=Economic Efficiency、環境適合性=Environment)への取り組みがより重要になり、当工業会は従来型のガス・石油給湯機から潜熱回収型給湯機への積極的な置き換えに加え、ハイブリッド給湯機の普及拡大への取り組みを推進することがますます重要となった。また、昨年4月には省エネ法のトップランナー制度に関する審議会が開催され、28年度を目標年度とする新たな目標基準値が策定された。当工業会は、行政機関、関係団体と共にこの目標達成に向けて取り組んでいく。
 標準化事業は、ガス調理機器でのISO規格化が進められており、国内対策委員会で議論を重ね、国際会議の場で日本の意見を積極的に反映させるべく対応している。また、ハイブリッド給湯機の性能測定方法のJISにも取り組む。
 情報調査事業は、コンサルタント会社と契約し、製品安全事業及び需要促進事業で効果的な広報活動に結び付けたいと考えており、昨年も高効率給湯機の推進を重点課題として推進した。今年は、さまざまな事業の継続的な取り組みに加え、国のエネルギー政策への対応として、ハイブリッド給湯機等の高効率給湯機への導入支援(570億円)、既存賃貸集合住宅向けエコジョーズ、 エコフィールへの導入支援(35億円)、みらいエコ住宅26事業(2050億円)を最大限活用し、高効率給湯機の普及を加速し、徹底的なエネルギー使用量の削減を図る活動を推進する。
 当工業会は、製品安全に対する取り組みはもちろんのこと、高効率給湯機の普及の課題に全力で取り組みつつ、ガス・石油機器の快適性と利便性を積極的にアピール広く周知することによって、「国民生活文化の向上と業界の発展」を目指す。