販売店に料金説明求める、改正省令・三部制施行後の請求に「設備費が含まれていない」根拠を要求

ピックアップ

改正省令が完全施行された4月2日以降、3月分の検針票・請求書を発行した販売店に対し、消費者からクレームが寄せられた。内容は、請求書に設備料金の記載がなかったことに対し、消費者が三部料金制による表示を求め、かつ「ガス料金に設備費(給湯器、エアコン等)が含まれていないことの明確な証明」を要求したもの。

既存契約において設備料金が0円の場合、基本料金に含めて設備費用を回収していたにもかかわらず、その外出し表示がなされていないケースがある。こうした場合、設備料金0円の客観的根拠を示す説明が求められており、説明ができなければ三部料金制の規律に反する可能性があるというのが行政の見解である。

なお、行政は説明方法について具体的な指針を示していない。このため、各販売店が「設備費用を消費者に転嫁していないこと」を合理的に説明する責任を負う。

設備料金を徴収しないのは会社の自助努力で費用負担しているからと説明することが想定されるが、これについても行政は「合理的根拠にはならない」としており、場合によっては会計書類などの提示を求める可能性があるとしている。

今回クレームを受けた販売店は、当該消費者が入居する集合賃貸住宅に対し、前業者が設備の減価償却を終えた後、無償譲渡を受けて供給を開始していた。オーナーとの間で無償貸与契約も締しておらず、設備費用の回収も行っていなかった。ただし、入居者3戸分の給湯器交換に際しては前業者に対し計20 万円弱の精算金を支払っている。これについても、オーナーとの無償貸与契約は締結せず、ガス料金に設備費用を上乗せして回収することもせず、会社全体の収益で投下費用を賄っているという。

販売店側はこうした経緯を説明する予定だが、「していないことの証明」はいわゆる「悪魔の証明」となるため、これ以上の説明は困難である。今後は、回答を受けた消費者の判断に委ねられる見通しだ。

今回の消費者は「回答=販売店の見解」を求めており、三部料金制の施行から1カ月も経っていない時期に、改正省令についての知識があることが窺える。こうしたことからこの問題に関する何らかの集団的な動きを懸念する声もある。