全国LPガス協会(山田耕司会長)は6日、職場における熱中症の発生状況(令和6年確定値)を周知する文書を都道府県協会などに宛て発出した。詳細情報の資料やパンフレットなどを掲載した厚生労働省WebサイトのURLを案内し、職場で熱中症対策を実施するよう要請した。
全L協は今年4月、労働安全衛生規則の一部改正により熱中症予防対策の実施が事業者に義務付けられたことを周知している。対策の義務化は、早期発見体制の整備、重篤化防止措置の実施手順作成、関係作業者への周知などがあり、義務を怠った場合の罰則として、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が定められている。
職場における熱中症による死傷災害の発生状況によると、死傷者数(死亡者および休業4日以上の業務上疾病者の数)は2024年に1257人で、死傷者数について統計を取り始めた05年以降で最多。うち死亡者数は31人で死亡災害の統計を取り始めた1989年以降、当時観測史上1位の猛暑だった2010年の47人に次いで多い状況。
厚労省の資料には死亡災害の事例が掲載されており、そのうち1件は、気温32・6℃の8月に発生したガス業界で60歳代の配送員の死亡例だった。「被災者はガスボンベの輸送業務を行っており、12時45分頃、顧客から引き取って来た空のガスボンベ(重量約50kg)をトラックの荷台からプラットホームへ下ろしていたところ、突然気分が悪くなったことからその場にゆっくりと倒れ込んだため、近くにいた同僚らにより救急搬送されたものの、当日、搬送先の病院において死亡した」と報告されている。