静岡ガス(静岡市、松本尚武社長)は1日、食用の高級魚「クエタマ」の陸上養殖事業に本格参入すると発表した。静岡市が実施した公募型プロポーザル「旧清水斎場活用事業」を通じて、25年6月20日に市有遊休地の使用に関する基本協定を締結。同年7月から同遊休地に閉鎖循環式陸上養殖設備工事を着工し、10月に稚魚入れを行う。
同社は、静岡支社(静岡市)に小型・分散型閉鎖循環式の陸上養殖システムを設置し、2024年11月からトライアルとしてクエタマ養殖を行い、陸上養殖の事業化に向けた検討を進めてきた。クエタマは、ハタ科を代表する高級魚クエとハタ科最大級のタマカイのハイブリット魚種。
養殖設備は、トライアル時から使用しているARK社提供の陸上養殖システムの新シリーズ「ARK ZEROシリーズ」を採用する。同システムを3ユニット(1ユニット=水槽3基、計9基)設置することで、年間約6000匹のクエタマ生産を目指す。
さらに今後、養殖事業をより加速度的に成長させるため、ARK社への出資を通じて協業を推進し、さらなる事業拡大の可能性も検討する。27年以降の設備増設を計画するとともに、今回の遊休地での生産に限らず、陸上養殖事業拡大のためのパートナー連携も検討していくとしている。