奈良県吉野は、北部の奈良盆地と南部の山岳地帯のちょうど間にある。言わずと知れた日本屈指の桜の名所で、シーズンになると多くの観光客で賑わう。北仙産業(吉野郡大淀町、北村豊彦社長)は、南部の山岳地帯の南端にあたる場所にLPガス・オートガス充填所を保有する。
設立は1959年、66年にLPガス充填所を構えた後発組だ。社名の仙の字は初代仙太郎氏からとった。北村豊彦社長は3代目。2代目の父・範彦氏から30歳になってすぐに社長職を引き継いだ。「父は初代が亡くなってから社長を継いだので、引き継ぎが大変だったと聞く。だから今度は自分が元気なうちにと、早く社長を継ぐことになった。当時は早すぎると思ったが、今となっては経験が助けになっていると感じている」と話す。およそ県半分を占める広大なエリアを商圏にしているが、人口減少の進行は北部の比ではなく、1社では到底解決できない問題が山積している。
高齢の消費者が多く、保安点検時に古いガス器具や気になる設備を見つけて交換を促しても、有料の場合は「もう先は長くないからと」と躊躇される。粘り強く説得するのにも骨が折れる。余談だが、山間部はオール電化は少ないという。電線ルートが少なく停電が起こりやすく、かつ復旧に時間がかかるからだ。LPガスは当地にとって必須のエネルギーである。
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